【母なる証明】 (レビュー)

【マーク堀口のこの俳優をマーク!】
この作品はサスペンス・タッチになっているので、レビューを書くのがなかなか難しいのよね。知的障害のある少年が殺人犯として警察に捕まって、母親が息子の無実を証明しようと頑張る!っていうのが大まかなストーリーなのよね。
監督さんはポン・ジュノ。アタシは『ほえる犬は噛まない』からのファンなんだけど、その後の『殺人の追憶』までは良かったんだけど、それからが今イチって印象なのよね。で、今回の作品は同じサスペンスものとして『殺人の追憶』に似てるかなって思ってるわ。
さっき書いたようにストーリーは簡単(犯人探しを除けば)なのよ。それに登場人物もこの手のものにしては意外に少ないの。主役級として、お母さん(キム・ヘジャ)と息子(ウォンビン)が随時、画面に出ているって感じ。特にお母さんは息子のために孤軍奮闘って雰囲気が良く出てるわ。
このキム・ヘジャという女優さん。日本でいうと根岸季衣みたいな感じかしら。これまでは映画にあまり出てなかったみたいだけど、演技は上手すぎるくらいよね。韓流ドラマなんかに出てる若い女優よりは数段上の演技を見せてくれるわよ。
そして、息子役のウォンビン。知的障害者役というのはそれだけでも大変な演技を要すると思うんだけど、彼はキチンとこなしてるような気がするわ。もちろん、その演技ができるまで大変な努力があったのかもしれないわ。いずれにしても、この作品、一度は観てみることをオススメするわ。損はしないはずよ。


◆『グエムル‐漢江の怪物‐』のポン・ジュノ監督最新作であり、かつて韓国四天王と呼ばれていたウォンビンの兵役からの復帰後初となる5年ぶりの映画出演作品。設定や演出に過剰な部分は見られるが、母親役のキム・ヘジャが素晴らしく、全体的には面白かった。
けれど、物語の本筋である殺人事件までの導入部が長すぎる。この部分で主要人物のキャラクター紹介と物語結末までに展開される幾つもの伏線が張られるのだが、とにかく長い。もう少し整理して、半分とまでは言わないが、せめて3割くらいは短くして欲しかった。明らかに不要なエピソードもあるし、この導入部で描かれている、ウォンビンの役柄をはじめとする各キャラクター設定やコミカルな演出など、韓国作品に多くみられる画一的描写が多くて飽きる。
韓国映画なのだから欧米文化の価値観を模倣する必要はないし、充分に韓国的で良いとは思う。けれど、この物語の主軸が目指す「深み」とは相反した描写に感じてしまう。もちろん導入部のコミカルさや主要人物の「無垢」さが、物語後半で裏返る対照として描かれているであろうことも理解はできるのだが、日常生活の中で悲劇と喜劇が背中合わせに存在しているのではなく、どうしても互いに乖離しているようにしか見えないのだ。
そんな導入部を過ぎて物語が走り始めると、その勢いは急激に加速し、ラストまで一気に魅せていく。真実を求め進み続ける母親を演じるキム・ヘジャが本当に素晴らしい。あまり映画には出演していないようで、韓国のテレビドラマ界では母親役の代名詞みたいな存在らしいが、このくらいの年齢の女優がこんな役を演じる機会を得たことは、とても幸福なことだと思う。(栗栖)


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