【50歳の恋愛白書】 (レビュー)
◆戯曲家アーサー・ミラーの娘であるレベッカ・ミラーが小説と同時進行で書き上げた脚本で監督も務めた意欲作。錚々たるキャストがそろった良質な小品。
何より主人公ピッパを演じるロビン・ライト・ペンが素晴らしい。以前から大好きな女優のひとりではあるが、本作品での彼女はこれまでとチョット違う空気をまとっている。実年齢より大幅に年上の役を演じているためだろうか。ちなみにピッパより15歳年下のクリス35歳を演じるキアヌ・リーブスは、実年齢ではロビン・ライト・ペンよりも2歳年上。他のキャストも年齢ギャップを完全に無視した配役がされている。舞台ではよくあることだが、映画でここまで大胆なキャスティングをすることは少ない。しかもそれが成功しているのだから、監督レベッカ・ミラーの手腕と俳優たちの力量に、ただ敬服してしまう。
かなり観客を限定してしまいそうな日本語タイトルだし、宣伝方針やストーリーも主人公ピッパと年下のクリスとのラブストーリーが中心であるように思えてしまう。けれど実際にはピッパの半生を回想を交えながら描き、さらに未来を手探りで求めていく女性の物語になっていて、クリス以外の人々との関係もきちんと描き込まれている。少年以外ならば性別や年齢を問わず、それぞれに感じられるところのある作品だと思う。
それは言い換えれば、これから5年10年後に今より年齢を重ねてからもう一度この作品を観たときに、全く違うところに感応できる可能性と懐の広さを持っているとも言える。もとろん、それはどんな物語でも同じだろうが、本作品のように人間を丁寧に描いた物語ではその傾向が特に顕著で、後々まで「隠れた佳作」として語られ続けていくだろう。(栗栖)
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