【湯の里ひじおり】

湯治とは「なにもしないこと」。湯浴みや茶飲みに時間を費やし、何もしないで身体を横たえるのみ…。そんな素朴で「ぜいたく」な湯治が、広く知られることなく、連綿と伝えられてきた山形最上郡大蔵村肘折(ひじおり)温泉。田んぼや畑の仕事がひと段落する頃、肘折は湯治にやってきた農家のじいちゃん、ばあちゃん達で溢れかえる。「旅館はお部屋、道路が廊下」。街全体が一つにまとまり、住民全体でじいちゃん、ばあちゃん達を迎える。これこそ本当のおもてなし!肘折温泉は、湯治客がとことん羽をのばすことの出来る湯治湯なのだ。そんな「知られざる楽園」も、高齢化によって湯治客の数も半減。さらに地域文化の要を担ってきた肘折小中学校が、この春、学校統合により134年の歴史に幕を閉じることになった。貴重な湯治湯が岐路に立たされている!そんな折、青年団の一人が学校で使われなくなった楽器を手に、ブラスバンドをやろうと呼びかけた。不慣れな楽器と格闘する若者たちのブラスは、徐々にハーモニーを奏ではじめる…。閉校式の日、ブラスの音色が力強く山あいに響く…。それは厳しい現実を前にしながらも、湯に恵まれたこの地で生き続けることを決心した、肘折の人々の心意気を伝えるようだった…。

0.作品紹介
*HOME